戻りました 

2006, 09. 25 (Mon) 22:43

本日、帰京しました。
金曜、父の心臓が停止しまして、土曜に通夜、昨日は告別式でした。
明日から日常に戻ります。

父や母のことについては「ホタル」をお読み頂いた方はご記憶かもしれません。
五年の闘病生活でした。どうして父は最後まで母を苦しめるのだろうと思うことも、正直、ありました。
でも不思議なもので、父が逝ってしまったあとに初めて気づくことが、たくさんたくさんありました。誰が教えてくれたわけでもないのに、自然に「ああ、そうか」と納得することばかりでした。
脳梗塞で倒れてからの五年間、酒を呑んで暴れることもなく、怒鳴ることもなく、暴力も奮わなくなった父。口もきけず、歩くこともできず、ただベッドで天井を見つめている父を、母は周囲の者や看護婦さん達が心配するほど献身的に介護していました。
「ああ、この人たちは、まぎれもなく夫婦なんだ」と、せっせと父の口の中を清める母の姿を見ては、複雑な思いを抱いたものです。
いつも父の口の中を渋い緑茶で磨いてやっている母に「なんでお茶で磨くの?」と訊いたところ、母は「お父さんの歯は全部自分の歯なんやで、虫歯になったら可哀相やろ? 歯磨き粉は使えへんで、お茶は抗菌やし、ええんとちゃう? またいつか自分の歯ぁでご飯食べれる日が来たら、やっぱり歯が綺麗やと嬉しいやんか」と、どう見ても楽しそうに…本当に嬉しそうに、父の歯を磨いてやっていました。
私は昔、母に「父と別れてほしい」と頼んだことがあるのですが、そんな「余計なお世話」を口にした若き日の自分を恥じました。

私の知るかぎりではありますが────父と母が最も寄り添ったと思われるこの五年間は、もしかしたら母への最後のプレゼントだったのではないかと、そんなふうに感じます。
最後の五年間、私の目から見ても、それはそれは穏やかな夫婦でした。
母と兄、私の三人で父の臨終を見届けることができ、本当に何十年ぶりかに、私たちは四人家族であったのだということを認識させてもらった気がしました。
私のこの肉体は、まぎれもなくこの人から受け継ぎ、先へと繋がっていくんだと感じました。
私をこの世に創り出してくれてありがとうと、最期の最期になってしまったけど、やっと父に感謝できたことが、悲しくて、嬉しかった。
お母さんを守ったってな…と、素直に父に母のことを頼めたことで、私はこの家族がとても好きらしいと、やっと思うことができた。

骨壺という姿に変わった父を見て、それまで泣いていた姪っ子たちが「ミニおじい」と言ったのが可笑しかった。
「この中に、ちっちゃいおじいが、ようけおるんやでー」と。
母の側には、どんなときにも明るく逞しい姪っ子が二人いてくれるので、少しは安心です。
今朝も母は、姪っ子達のために朝食を作り、弁当を作り、「あんたら早よ行かな遅刻するでー!」と近所に響く大声で、いつもどおり動き回っていました。
あんまり、きばらんときな…と言いたかったけど、余計なことは言わず、ただ「落ち着いたら東京へ遊びにおいで」と言い置いて、帰京しました。

まだまだ書きたいことはたくさんあるけど、書ききれない…。
とにかく、父は逝きました。
呼吸器をつけてもらってからの最期の四時間は、ほとんど苦しむこともなく、とても静かに心臓が止まりました。

お父さん、よう頑張った。
お母さん、よう頑張った。
兄ちゃん、男手ひとつで娘ら育てて、よう頑張った。
また家族みんなで、昨夜みたいに位牌を囲んで酒盛りしよな。



どうも自分の気分とそぐわないので……もう少し落ち着いたテンプレにします。
気に入ってくれていた人、ごめんなさい。
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コメント

jin

桐生さん、ありがとう

桐生さん、ごめんね。いまごろコメントに気づいた私を許して…。
ブログに駆けつけてくれて、ありがとう。
お名前を拝見して、心が温かくなりました。
桐生さんにお伝えしたご友人にも、どうかお礼を。
またいつでもBBSやブログ、気軽に書き込んでくださいね(*^-^*)ノ

2006/10/16 (Mon) 15:10 | jin | 編集 | 返信

桐生

お悔やみ申し上げます

桐生です。ご無沙汰しております。
友人からこのことを聞き、急いでとんでまいりました。
先生、ご遺族の皆様、この度はご愁傷様でした。
お悔やみ申し上げます。

BBSのほうで言うのもあれなんで、こちらの日記に一言でも書こうと思ったのですが、これが初のコメント投稿になってしまい申しわけありません。

心よりご冥福をお祈りいたします。

2006/09/29 (Fri) 22:37 | 桐生 | 編集 | 返信

joker

あぁいえいえこちらこそ(ペコペコ)←お辞儀

かえって先生にお気遣いをいただくようなコメントになってしまい、本当に申しわけありません。

パールムーナーの皆様への先生の深いお心遣いに胸が熱くなる思いです

今を生きる
これこそ使命だと思います
満中陰のまでは何かと大変でしょうが、無理をなさらずに御身お大事になさってくださいませ
                            合 掌

2006/09/27 (Wed) 22:16 | joker | 編集 | 返信

jin

ありがとうjokerさん。それと、ごめんね。
こういう事柄って、日記を書いた私以外にも体験していらっしゃる方が多くて、悲しいことを思い出させてしまったかもしれません。本当にごめんなさい。
お母様は、そんなに早く召されてしまったのですか…。お姉様、弟さんとの結びつきを強くしてくださったのはお母様ですね。
故人の思い出とか…いろいろ考えてしまいますけど、こういう温かな思いこそ、故人が残してくれた遺産だと感じます。

2006/09/27 (Wed) 11:38 | jin | 編集 | 返信

joker

お悔やみ

先生、ご遺族の皆様、このたびはご愁傷様でした
心よりお悔やみ申し上げます

私事ですが我が家は母が亡くなって今年で2●年
今年私は亡母の年齢に追いつきます
我が家は本当に夫婦仲が最悪の家庭でした
「もう離婚してくれよ~」といつも心に思った幼少期でした
お蔭様でと言いますか、3姉弟の仲だけは非常に良い、若干複雑な家族模様を展開中です

それでもやっぱり家族なんです
この言葉は重い
そして思い

これからじわじわといろんな気持ちでお過ごしになることがおありでしょう
どうかお疲れの出ませんように
そしてお母様もお大事に

なんだかうまく書けなくてすみません
ご冥福をお祈りいたします

2006/09/26 (Tue) 22:17 | joker | 編集 | 返信

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