1月24日 

2006, 01. 24 (Tue) 15:00

週末に降った雪も、もうほとんど溶けちゃいました。でも風は冷たい。
昨日……ではなく、未明だから、今日か。「東京タワー」を完読した。
リリー・フランキーさんの著書です。あえて作者名は伏せずに。

「なんだこの甘え腐ったバカ息子は!」と、途中ムカムカしながら読んだ。
自分と重なる部分が多すぎて、この不快感はどうしようもない。めちゃくちゃなオトン。リリーさんちのオカンは優しかったようだが……我が家は、どうにもこうにも。幼稚園児@綺月を物干し竿のスタンドにぐるぐる巻きにくくりつけてしまえる女だから、そのめちゃくちゃぶりは言うに及ばず。
貧乏なのに家を出て美大に行き、そのおかげでリリーさんちの親も我が家の親も、どっちも苦労したと思う。ただ、リリーさんちはオカンが精一杯きりつめて仕送りをしていた。反して我が家はどんなにきりつめても、私に送金する金などない。月の仕送りは一万。多くて二万。「これだけしかないで、あとは自分でなんとかして」と言われなくても、生きていたければバイトするしかない。ふたつも三つも。お金がなくなって家に戻るようなことにでもなれば、別の意味で、自分は死んでしまうとわかっていたから。
オカンに苦労を掛け続けるリリーさんに腹を立てながら、それでもぐいぐい引っぱられて引きつけられて、どんどん読んだ。それこそ貪るように。家がこんな状態なのに、よくも浪人なんかできるな…と、まだ悪態をつきながら。
だけど、リリーさんとオカンと、ときどきスパイスを効かせるように登場するオトン、この三人が一体どうなってしまうのか……ちゃんとリリーさんはオカンを安心させてやれるのか、まるで母親の気持ちでハラハラしながら、ときにはリリーさんとオカンたちとのやりとりに噴きだしながら、最後まで一気に読んだ。

自分がいままで、どれほど小説執筆という作業の中に情念をぶつけても、決して消すことの出来なかった親への奇妙な感情が、タイルがボロボロと剥がれ落ちるかのように、気がつけば足元に瓦礫となって積まれていた。
足を上げて、瓦礫を踏んで。越えて。新しい世界に、一歩踏み出せたような気がした。
いまの母親を、いまの私の目で見ていこうと、素直に思えた。

金の縁取りが入った真っ白なカバーを開くと、東京タワーから眺めた景色が広がっている。撮影したのはリリーさん@ご本名。中扉の題字は、リリーさんのオトン。本文レイアウトは、リリーさんの友人らしい。
みんなでオカンを抱きしめているかのような、切なくて暖かい一冊。
私の大切な宝物が、一冊増えた。
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