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剛しいら先生のこと…… 

2018, 04. 05 (Thu) 13:14

T先生が発信してくださったtweetで、
剛しいら先生の訃報を知りました。
頭がぼんやりとしてしまい、涙が止まりません。

どうされているのかなと、
ずっと気になっていました。
ふとしたときに剛先生を検索しては、
最近新作が出ていないな……と心配していました。


剛先生の作品が初めて「小説イマージュクラブ」誌に掲載されたのは、
確か1996年の3月末発売号(5月号)だったと記憶しています。
当時隔月発売だった「小説イマージュクラブ」で、
私はその1号あと……5月末発売号(7月号)で、
剛先生を追いかけるように、初掲載していただきました。

イマージュクラブの小説投稿欄で、
いつも「剛しいら」さんのお名前を拝見しては、
「あ、また剛さん載ってる!」と嬉しくなって、
勝手に仲間意識を膨らませては、執筆意欲に変えていました。
私も負けじと投稿するので、
しょっちゅう同じページで批評を受ける、そんな関係でした。

剛さんが一足先にプロとしての掲載を果たされたころ、
私はまだ投稿コーナーを経由していました。
それでも作品は毎号雑誌に掲載されていましたし、
原稿料もいただいておりましたので、
すでにデビューしているような、よくわからない立場でした。
後日、剛先生から直接伺ったのか、
担当様から聞いたのか失念してしまいましたが、
「いつまで綺月を投稿生にしておくんだ!」と、
編集部に進言してくださったのは、剛しいら先生だったそうです。
剛先生のおかげで、私は晴れて「投稿生」からの卒業を果たしました。

初めての同人誌は、剛先生との合同誌でした。
「一緒に同人誌作らない?」とご連絡をいただき、
「作ったことがなくて……」と二の足を踏む私に、
「原稿さえくれれば、全部こちらでやるから」と
大らかにおっしゃってくださいました。
テーマは、ブラック。
「綺月さんだったら、こういうの大丈夫かと思って」だったか、
「わかってくれると思って」でしたか、
そのようなお言葉をちょうだいし、光栄で震えました。
本が完成して、頒布も全部やってくださって。
そのバイタリティに感服……というより、
恐れおののいたのを覚えております。

その後、初めてJガーデンに一般参加し、
剛先生のスペースへご挨拶に伺い、
直接お目に掛かる機会を得ました。
そして私も同人誌のノウハウを学び、
自分のスペースを出すことが叶いました。
同人誌を発行しては、剛先生へ届けに走るのが楽しみでした。

でも、あるとき。
お電話をいただいたのです。
発行したばかりの同人誌の中での私の発言が、
ある人に対して失礼だという、お叱りのお電話でした。

剛先生から指摘されるまで、
私は自分の同人誌で、誰かを傷つけていることに気づけませんでした。
いま思うと、情けなくなります。
「いくら同人誌であっても、
ペンネームで出している以上、読者にとっては公の発言」
その公の場で、誰かを傷つけた。
これは、赦されざることです。
この言葉は、いまもなお自戒の念として、
心に強く刻みつけています。

電話で注意する側も、とても勇気が必要でしょう。
きっと、とても不愉快だったでしょう。
それでも剛先生は、伝えてくださいました。
馬鹿な私が同じ過ちを繰り返さずに済んだのは、
ひとえに剛先生のおかげです。

人と人との関係を、とても大切にされる方でした。
浮き足立って周りが見えていなかった私に、
剛先生は、大事なことを教えてくださいました。

後日、出版社のパーティーが某ホテルで開催され、
直接お目にかかれる機会がありましたので、
謝罪と感謝を伝えさせていただきました。
叱られたのに、こんなことを言うのは変かもしれませんが、
ものすごく恥ずかしい、申し訳ない……という気持ち以外にも、
こんなふうに叱ってくれる人に、この業界で巡り会えた。
そのことが、とても嬉しくて、
一方的に、特別な親しみを抱いておりました。

口をきいていただけなくても仕方ないと思っていたのに、
「ホテルに泊まってるから、部屋、見に来る?」と、誘ってくださいました。
他の作家様たちと一緒に、その豪華なお部屋を訪れました。
「小説のネタになるでしょ? 写真撮っていいよ」と。
そんな言葉で、未熟だった私の失態を「済んだこと」にしてくださいました。

回りの人を喜ばせ、楽しませ、応援し、支えてくださる、
とても大きな、広い心を待った方でした。
デビューさせていただいた雑誌から、外に出る際も、
「ここの出版社に原稿を持っていったら?」と助言をくださいました。
剛先生のアドバイスがなかったら、
私は文庫「ホタル」を出せなかったと思います。


豊かで大きく、たくさんの作品を遺された剛しいら先生。
勝手に、ご縁を感じていました。
勝手に、懐いておりました。


作品も、お人柄も、仕事に対する姿勢も、
まだまだまだまだ剛先生には追いつけません。
永久に、追いつけないと思います。

それでも、書き続けますね。
「いつまで投稿生してるの?」と、
「もっと、強気な作品書けるでしょ?」と、
空の上から叱ってくださいね。

たくさんの作品を私たちに贈ってくださって、
励みにしたり、支えにしたり、学ばせていただいたり、
楽しくて切なくて愛しくて苦しくて悲しくて優しい、
剛しいらワールドで夢を見させてくださって、
本当にありがとうございました。
剛しいら先生のもとから生まれた多くの作品は、
これからも、こちらの世界で誰かを支え、
励まし、元気づけ、愛されていくと思います。
私もときどき、剛先生の作品たちに会いにいきますね。

ご冥福を、心よりお祈り致します。











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